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「小さいねじの小さいねじや」

浅井製作所さん見学記


How to make screw?

~ねじはどこから来た?~



工場内にずらりとならんだ圧造機。
叩く音やらなにやらでかなりやかましいですね(^^;
高校の工場とは違った油の匂いがなんか面白いです。

最初は圧造機でねじ頭作り!


圧造機(ヘッダー)


画像右側にある銀色のロールがねじになる線材。
これを引っ張り出して機械の中に取り込んでいきます。



取り込んだ部分を上から見たところ。ちょっとごちゃごちゃしていてわかりにくいですね。
この中央部にある穴の部分からねじの頭を作るところが見えます。



その穴の中のアップ。右側から線材が出てきます。
出てきたところを適当な長さにカットして、画像下側に移動。そこで今度は左側から叩いてつぶして頭にします。
この圧造機は2回叩いて成型するタイプのダブルヘッダー。ヘッドが回転するタイプのとかいろいろ形式があるそうです。

画像中央に二本の線材が見えますけど、上側のがカットする直前で下側のが一回目の叩きが終わったところ。ここから二回目の叩きでねじのあたまが完成します(+の溝とか全部)。

ねじ頭の形状や溝のかたちに応じて、叩く部分にセットするパンチの形状を変えるんですね(セットは手動)。

圧造機全体だとこんな感じ。




さらに叩くところのアップだとこんな感じ。





頭が出来上がったリベットは後から押し出されてぽろっと下に落ち、それと同時に次の線材が叩かれる位置に来ます。
非常にスムーズな機構で、1分間で60~70本が打ち出されていました。これで一日○万本という単位で製造できるとのこと。

次は転造機でねじ部分を加工!


転造機(ローリング)



こちらが転造機。
圧造機でできあがったリベットを画像右上にあるホッパーにざら~~っと流し込みます。



ホッパーから出てきたねじは自動的に整列して流れていきます。
画像中段、右側から中央部へとねじのあたまが並んでるんですけど・・・見えます?



そしてこれが転造しているところ。ねじの山の形状に応じた型をセットして、それで挟んで一擦り。
画像中央にあるのがちょうど挟まれて擦られてる最中のねじ君。”ごりっ”という音とともに完成したねじが画像左下に放り出されます。





こちらも非常にスムーズで、一本一秒かからないですね。
ぽんっ、ぽんっとリズミカルに完成したねじが投げ出されていきます。

タッピングねじの場合はさらに足割機で追加工!


足割り機



脳天唐竹割足割り機。
タっピングねじの先端に作業性向上のための切込みを入れるためのものです。



足割り機のホッパー。こっちもこのトレイにざら~~っと流し込むだけ・・・便利だなぁ。
これは画像中央の銀色の部分が上下動してでねじを取り込むタイプですが、回転式のものの方が多いらしいです。



これが肝心の足割り部分。
画像中央にある円形の部品が一定の間隔で右回りに回転します。
すると画像上側から流れてきたねじが周上にあるくぼみに一本ずつ収まって、一緒に回っていきます。
んで画像下部にあるカッターで溝を切られて、左側にまわったところでぽいっと投げ出されます。
この画像ではちょーど投げられて飛んでるねじが写ってますね。ベストショット(笑



カッター部分のアップです。
これもねじの大きさに応じて刃厚の違うのに取り替えるんですね。

できたら汚れを落とします。


お掃除。


『ガラ』って言うんだそうです。
六角形の箱がぐんらぐんら回ってごみを落としてます。じゃらじゃじゃら。がらがらがら。



こっちは『振り切り』。遠心分離機ですね。
かなりの高速で回転させて、遠心力で汚れを落とします。う゛ぃ~ん

順番が前後しちゃってますが、
圧造⇒ガラ⇒振り切り⇒転造(⇒足割り⇒振り切り)
という手順になるそうです。
足割りとかのときに使用している油が軽油なんで、遠心分離機で飛ばせるんでしょうね。


そんなこんなでねじができあがります(普通の小ねじだったら足割りが無いし、リベットだと転造もやりませんけど)。
できあがったねじはサイズのばらつきの大きいものを自動で取り除いて、箱詰めして出荷。
一番小さいねじだとφ1.4[mm]で長さ1.4[mm]、手のひら大の小さな箱に3万個くらい入るシロモノがありました。
あとはトルクスねじとかの特殊な形状のものとか、AIB○用のねじとかも作ってらっしゃるそうです。
ちなみにお値段は一本数十銭とかいう単位・・・

圧造・転造とも最初にセットするのは人力なんで手間がかかりますが、一度セットしちゃえばあとは動かしっぱなし。
小池製作所さんで見たマシニングセンタとかとは対照的に完全に目的に特化した専用機械ですね。
各機械を連結することは可能でしょうけど、これ以上過程を省略することは不可能だと思います。
ある意味とことんまで突き詰められたシステムと言えるんじゃないでしょか。

とにかく、こーして常日頃から使っているねじの製造方法を知ることができたのでした。
お忙しい中丁寧に説明してくださった浅井さんに感謝!


以上!